Saturday, January 05, 2013

バーバー・伊能



初詣の人々を横目に成田をやり過ごし、総武本線を佐原まで足を延ばした。佐原には3年前の1月にパスモを落として以来。十分過ぎる余裕をもって昼前の鰻屋にやってきたつもりが既に満席で、都合二時間ほど鰻屋を堪能してしまう。ぴーひゃらと外を練り歩く獅子舞のお囃子が待合まで響くと、店内からは殺人事件を告げるニュースのくぐもった声がこぼれてくる。おまけに微かに流れるミューザックをまじえた室内は、良くできたミュージックコンクレートに包まれているようだった。

井坂屋金物店の前をうろついているところをご主人につかまえられ、古来より店に伝わる品々を紹介していただいた後は、たいやき屋を兼ねる古書店の武雄書店をひとまわりする。角川写真文庫の永井荷風号が目についたが、まあまあの価格なので見送り。友近演じるメガネのおっさんキャラのような店番の女性が、ネットを駆使しながら、ぶつぶつと大声で値付けをしている。

そろそろ街をひと回りしたかなというところで、再び獅子舞に遭遇。今度は木の下旅館の玄関先にてこれぞ正月の門付風情というものを拝する。獅子舞が去ってから旅館前の説明板を見てみると「明治大正昭和にわたり旅芸人が数多く宿泊」とある。柏屋もなか店で最中を土産にもとめ(美味い)、成田線を帰路に。追い抜いて行った初詣団体列車「成田臨」には空席が目立っていた。