Thursday, March 29, 2012

ともえ市場



2月29日。サンロク街を抜けて、四条通りを15丁目まで、早朝の旭川を歩く。巨大なスタルヒンが壁面に聳える銀座通りのマーケットを仰ぎ見て、買物公園まで戻り、『氷点』の舞台であるという喫茶チロルでモーニング。少し冷めたトーストを頬張りながら、行程から外した「ともえ市場」への未練を断つためにネットで復習していると、つい4日前に雪で屋根が崩落したとのニュースがあらわれてしまったので、やむを得ずに見納めに赴くことになる。立入禁止の黄色テープで囲われたともえ市場の素晴らしいファサードの奥に、無惨に積み上がっている瓦礫が見える。今回見送った赤十字市場や蓬莱市場なども、次に訪れる時まで健在であることを祈りつつ、旭川を後にする。



午前10時の特急で旭川から新千歳空港に向かうと、札幌を過ぎたところで寝台特急の北斗星とすれ違う。4年前の昨日はあれに乗って札幌にやって来て、今日は函館をぶらぶらしていたのだ。空港に着くと、ユジノサハリンスク行搭乗のアナウンスが聞こえ、さらなる旅情に誘われる。上空から、あの形状は陸奥湾かなと眺めていると、岩木山・八甲田山・十和田湖・男鹿半島・八郎潟・鳥海山が次々とあらわれた。あまりに完璧な坂ビスケットの「しおA字フライ」を貪りながら、やはりどうしてもレトロスペース坂会館にも行かねばなるまいと誓う。次は雪見じゃない時期もいいかもしれない。

Wednesday, March 28, 2012

パリ街



網走港からはバスに乗り、稼働中の網走監獄を横目に博物館の網走監獄へ。門外の番外地食堂にてムショ飯(監獄食B)を素早くかっ込み、脱獄王に迎えられて獄門を潜ると、刺青者の居並ぶ大浴場や、放射状に広がる獄舎などのワンダーランドが広がっている。監獄土産には、獄中で刻まれたというミニニポポ人形(網走監獄焼印入)を購い、雪模様になってきた網走を後にする。次は特急オホーツクの風で石北本線を旭川駅へ向う。前面展望を臨める観光仕様の先頭車両は、テツ様が三脚でガッチリ撮りっぱなしなので、素人の付け入る余地は全く無い。過ぎゆく車窓を眺めていると、「相変わらず山側三カ所シカごっそりいますんで」と連絡している声が運転席の方から聞こえた。旭川駅のモダンさは好印象。それにしても本場のジンギスカンが美味すぎる。素敵すぎるパリ街の灯りをしばし見上げ、旭川にて投宿。

オホーツク



2月28日。朝焼けのオホーツク海を眺めながら、塩辛や海苔佃煮に塩鮭などの朝食バイキングも思いがけず堪能する。宇登呂からはバスで斜里駅に出て、釧網本線の流氷列車でオホーツク海を眺めながら網走へ向かう。知床で岸に寄せていた流氷が、網走に近づくにつれて徐々に沖に離れていく。オホーツク海は凄まじく青い。風もなく、なかなかの日和なので、街道沿いのサパークラブなどを眺めつつ、網走駅から砕氷船乗り場までの一粁ほどを歩く。カモメにまとわりつかれた砕氷船おーろらは、犇めくデッキに中国語を響かせ流氷の海を行く。実際に目前にしてみると、流氷の海もなかなか良い。

Tuesday, March 27, 2012

宇登呂



この冬の厳しい寒さのために、餌場に来る丹頂鶴が増えているという朝のニュースに違わず、茅沼駅前で餌付けされた丹頂鶴が舞う姿は、ヤラセかと思わせるほどの見物である。SLは標茶駅が終点。標茶からはバスで知床に向かう。小一時間ほどバスに揺られて、凍結した摩周湖の展望台で少憩。全面凍結するのは珍しいという摩周湖は、凍結した湖面も青っぽいという話だったが、湖面は雪が積もった雪原だ。硫黄山でゆで卵をつまみ、オシンコシンの滝をしばし見上げて、夕刻、宇登呂に到着。知床半島に入ると気持ち悪いぐらいいるといわれていた鹿もそれほどではなく、こちらも少し肩すかし。宿に赴く前に、宇登呂の港回りを少し散策すると、オホーツクの風が凍みすぎるので、そこそこのところで投宿。温泉につかり、鮭丼や蟹など思いのほかバイキングを堪能する。夜空のオーロラショーを遠慮して、宿の人の切なそうな苦笑いを誘ってしまったのは、少し心苦しい。

湿原



2月27日。石狩鮭めしと柳もちを購い、7時発の特急スーパーおおぞらに乗り込む。先年の特急脱線火災に続き、先日も派手な貨物列車脱線事故を起こした石勝線区間をなんとか無事にやり過ごしたものの、いつも心強いディーゼルの唸りがこの時ほど心細く聞こえたこともない。列車は根室本線に入り、帯広を過ぎる。斜面を雪煙が滑ってきたので見上げてみると、2頭のシカに睥睨されていた。終点釧路には25分ぐらい遅れて到着。すでに乗継ぐSL冬の湿原号の出発時刻を過ぎているので、素早く「たらば寿し」を購入。満席の車両に乗り込む。向かいの席にはカタギではないだろうという感じの中年男女。湿原に差掛かり、のんびり車窓を眺めていると、雪原に横たわった鹿のまわりに鮮血が飛び散っていたりするから、こっちもなかなか油断がならない。何故かたくさんの見送り客に溢れた塘路駅を出発すると、ホームがどうにも騒がしい。列車が停止して、煙の中から現れたのは、客車にしがみついている爺さんであった。機関車直後に連結している車掌車のデッキから後部を覗き込んでいると、運転室の方から「全く何考えてんだよ」との尤もな声。車掌さんも「前代未聞です…」とこぼしている。都合15分遅れて塘路駅を再出発。

Monday, March 26, 2012

札幌



2月26日。折からの雪模様で引き返すかもしれないという条件付きのフライトをどうにかやり過ごし、飛行機は無事に新千歳空港にたどり着いた。札幌に向かう列車は、出発したと思いきやポイントの凍結で早々に止まる。空港で買った佐藤水産のおにぎりが美味かったので穏やかな気持ちで雪待ちするが、小半時して再び動き出した小樽行の快速は手稲で運転を打ち切るらしい。とにかく札幌までは着いたので、大通の喫茶店さえらで、たらば&フルーツのサンドイッチをいただく。注文からほどなくして「たらば終了しました」という号令が店内に響く。どうしてたらばサンドは滅法美味い。だだっ広い車両の札幌市営地下鉄に乗って西に少し移動し、狸小路を歩いて薄野まで戻る。薄野からは市電に乗って中島公園の宿で荷を下ろす。宿のそばにあったセイコーマート本社下の店舗で「しおA字フライ」を購入。一服後、夕食は薄野に出てスープカレー。デザートには雪印パーラーのアイスをいただいて、札駅まで地下道を歩く。駅ビルにある映画館では「シネマと鉄道ーデコちゃんと駅」という特集が組まれているようで、あわせて広場で開かれている「高峰秀子と同世代の女優たち」と題された映画ポスター展をついじっくり見てしまう。帰り際、素見しに入った駅内の弘栄堂書店で買ったのは何故か『サ道』であった。

Tuesday, March 20, 2012

Sunday, March 11, 2012