Wednesday, May 28, 2014

汽車通



新橋に来てみると、またまた古本市をやっているのでぐるっと見て回る。鉄道系の書店で、以前から気になっていた宮脇俊三編集の「全線全駅鉄道の旅」の東北篇と山陽四国篇を見かけたので購入。日比谷公園を通って有楽町まで歩き、はまの屋パーラーでフルーツ&玉子サンド。今日はクインシー・ジョーンズの『鬼警部アイアンサイド』が掛かっている。「全線全駅鉄道の旅」四国篇をぱらっと開いてみると、巻頭で瀬戸内晴美と宮脇俊三が高徳線や徳島線の話しをしていた。ちなみに、瀬戸内さんの言う「汽車通」は、汽車に通じているという意味ではなく、ジテツウとかの通学の意味です。

Saturday, May 24, 2014

餡掛



三軒茶屋から北沢や本町あたりを通って大久保まで歩き、中華食堂で晩餐。美味いチャーハンをいただきながらも、隣で晩酌している人のつまみが気になる。常連らしき阪神タイガース帽のおじいさんが、町内会の費用を払いに来たご近所さんに「ちゃんと払ってんの?」と尋ね、店のおばちゃんが日本人だけねと答える。外国の人にも払って貰えるか尋ねてみたら、怒鳴られちゃって怖いとのこと。3年寿命が縮まったとまで。なかなか難しい。

Thursday, May 22, 2014

積乱雲



北東の凄まじい積乱雲を見ながら野川を歩き、これを写真に撮るなら彼処かなと思っていた西武多摩線の跨線橋に着くと、線路上に浮かぶ積乱雲を、幼気な女の子が真剣に携帯で狙っているので、邪魔しないように通り過ぎた。住宅街を歩く中学生は、その怪しさを世界の終わりに結びつけてふざけあっている。とにかく放っておけなくなるような類いの凄い空だった。少し暗くなり、巨大な雲の中に雷が光っているのが見える。東小金井の駅前では70代のお嬢さんも真っ暗になった積乱雲を携帯に収めていた。

Wednesday, May 21, 2014

アカガネ

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5月17日。「城の眼」と「皇帝」のモーニングを気にしながら、わずかでも寝坊するために自重。高松港には、朝も早くから直島へ向かうフェリーに若者が集っている。女木島を回り込んだ船が直島の宮ノ浦港に着岸し、足早に連絡するバスに乗込む方々を見送る。次のバスに乗ろうとふらふらしていると、港の前のレンタサイクルが目についたので、そちらを利用することにした。直島西岸の宮ノ浦から東岸の本村までは10分ほどで横断。本村をふらふらしているとすぐにタレルの南寺が目に入り、周囲をネコがうろうろしているのを見つけて暫しじゃれる。開館するまではまだ時間があるので、本村を自転車で回っていると、駐輪場があるので止めて行きなさいと言われる。有難く止めてぶらついたが、後で貸自転車屋の注意書を見ると、本村地区は自転車でうろうろするなとのことであった。

本村地区で展開している家プロジェクトの総合案内所でチケットをもとめ、大竹伸朗の缶バッジガチャガチャを2回ほど廻す。10時過ぎに戻ってみると、いつのまにか南寺は凄い行列になっている。係の人の話によれば、混んでいる時は小一時間で一日分の整理券が出てしまうとか。暢気に構えていてあやういところだった。暗闇をさまようタレルのインスタレーションは圧倒的に楽しい。

続いては、大竹伸朗の「はいしゃ」。ケルンTシャツのお兄さんの「はいしゃでーす」という力の抜けた声で出迎えられて館内へ。突如姿をあらわした女神に度肝を抜かれた。

6つの内の2プロジェクトだけではあったが、なかなか堪能してしまったので、昼前に宮ノ浦に引き揚げることにした。山本うどん店でぶっかけうどんをいただき、和洋菓子店イワタコンフェクトで銘菓アカガネ饅頭ほかもろもろ菓子を買い込む。店内には昭和34年の第一回全國カステーラ大品評會感謝褒状が掲げられている。港前に自転車を戻して、最後に大竹伸朗の直島銭湯I♥湯で、独りの湯を堪能する。脱衣場の長椅子のモニターには海女のドキュメンタリーが流れている。

直島からは本州の宇野に渡り、宇野線、瀬戸大橋線で岡山へ。久しぶりに駅前のことぶき食堂に寄ってカツ丼を食い、白十字のワッフルを買って新幹線に乗込んだ。そういえば、白い姫路城を見るのを忘れていた。

Tuesday, May 20, 2014

こんぴらさん

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先日、こんぴらさんの門前を素通りして帰って以来、必ずと言っていいほど道中に支障が生じるようになった。そういえば、こんぴらさんって旅の神様だったなと気付いてから、これはお詫びに伺う必要があるのではないだろうかと思い立ち、早々に戻って来ることにした。この日は門前の歓楽街には目も向けず、平岡精肉店のコロッケで腹ごしらえして、早速お山に登る。本宮まで800段ほどの階段を休み休み登り、ようやく参拝を果たす。これだけ登ると、山上からの讃岐平野の眺めもなかなか見事だ。旅の安全を祈って黄色のお守りも購い、資生堂パーラーの神椿で小憩して下山する。胸のつかえも取れ、清々しい気持ちで下山していると、参道の土産店の店頭で目に入った「金のたまる人」という手拭いに、「一、感謝のできる人。二、収入以下の生活をする人。」とあるのを見つけて、ふいに心苦しくなる。

琴平からはことでんで高松へ。遊郭埠頭の城東町の夕焼けをしばし眺めてから、中央商店街を通って瓦町の方に延々と歩く。アーケード街のうどん屋で、とり天ぶっかけをいただいて投宿した。

貞光劇場

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貞光は町に迫る山影の距離感が絶妙だ。駅前の通りに出て東に歩き始めると、さっそく貞光劇場のゲートが見えてきた。貞光劇場は数年前に閉館した成人映画館だが、成人部分の残滓を排して、映画小屋の容姿を留めている。雑然とした劇場前の空き地で、ふっと草むらに足を踏み入れると、足元から鮮やかな黄緑のアマガエルが飛び出してきた。

うだつの街並を進んで、町の端らしき辻に至り、「つるぎ山道是ヨリ九里八丁」という石柱が立っているのを見てそろそろ駅の方へ引き返す。ちょうど正午も過ぎたので町中の飯田食堂に入る。食堂は地元の方々で大変な賑わい。おかずだけ買って行く方も見られるが、店はてんてこまいで、皆かなり待たされているようだ。常連らしきおばさんがバラずしもう終わり?と入ってきて、うどんと白ご飯をちゃちゃっと食って行った。

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貞光からは再び徳島線で阿波池田方面に進み、佃駅で土讃線に乗換。各駅停車の多度津行に乗り込んで、今度は北上する。先日、特急に乗っていて瞬時に通り過ぎてしまった秘境の坪尻駅では、ワンマン運転によるスイッチバックの儀をフルに堪能。橋上のホームから田圃を見下ろす黒川駅もまた素晴らしい。列車は琴平に近づき、周囲は突如麦秋となった。

Monday, May 19, 2014

ノンノン

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5月16日。徳島駅前の宿から隣駅の阿波富田の方へ進み、朝餉にうどんをすする。阿波踊り像に見守られながら両国橋を渡り、歓楽街の栄町あたりを歩く。スナック街の狭い路地の合間からは眉山がのぞいている。「なつかしのピンクサロン」ノンノンの素晴らしい店構えに感嘆し、東新町のアーケードを通って徳島駅の方へ戻る。アーケード街には「アニメのマチ徳島」の幟が並んでいるが、阿波踊りのポスター以外に実体や舞台となった作品があるようでもないのが空しい。駅前の森珈琲店のブレンドをいただいて、脇のポッポ街を少しのぞく。駅前の大判焼き屋には「男女踊子及び鳴物増員募集中」の幕が貼り出されている。

徳島駅からは阿波池田行の徳島線各駅停車に乗る。沿線は昨日今日苗を植えたような田圃が多い。水を張った田圃の真ん中には、周囲を完全に水に囲まれてポツンと立つ石碑や墓碑が目立つ。山の位置をみても、徳島線は吉野川に沿って進んではいるものの、川自体は穴吹の手前で少し見えるぐらいである。穴吹駅では7分の停車。うだつの脇町の玄関口の穴吹駅前にも、立派なうだつが上がっている。列車が穴吹駅を出ると国道を「うだつタクシー」が並走していた。

Sunday, May 18, 2014

阿波

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鳴門駅前から撫養川に沿って歩き、文明橋を撫養城の方に渡って、撫養街道の雰囲気を少し味わう。蜂須賀時代には天守が無かった撫養城だが、確かに天守を置きたくなるような小山である。文明橋を戻って大道銀天街の端を少しだけ回り、日没を前に散策を切り上げて鳴門駅に戻る。鳴門線の沿線は蓮田が広がり、鷺や鵜などの水鳥も多い。のんびり進む列車は、高徳線に合流して更に通過待ちを重ね、20キロ弱の行程を50分ほどかけ、19時過ぎに徳島駅へ到着した。

徳島駅の売店を素見してから駅前の一番町商店街を少し進み、はなや食堂という洋食屋でポークチャップ定食をいただく。行きがけにはシャッターが閉まっていて、今日は閉店したのかもしくは廃業したのかと思って眺めていたアートレコードという店が、20時過ぎに引き返すと営業している。徳島にも案外面白そうなレコード店があるんだなと思って調べてみると、19時から20時まで休憩して、23時まで営業するというなかなか素敵なシステムであった。投宿する前に立ち寄ったコンビニで、久保田食品のバナナアイスをみつけ、風呂上がりの四国を堪能した。

渦潮

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5月15日。神戸の墓参りが雨になったのは初めてだが、墓碑の上に延びた木の枝から落ちてくる毛虫たちは今年も元気である。今回は、神戸からバスで徳島に渡ってみようと思う。墓参を終えて駅に戻り、徳島行きのバスを待つ間、気になっていた新神戸駅北側にある布引の滝を見に行く。新幹線の駅から僅か数十メートルであの深山の趣とは、思った以上の見物であった。

新神戸を出たバスは三ノ宮のバスターミナルでだらっとするが、三ノ宮を出てからは1時間ほどで淡路島を渡り、鳴門公園に至る。大鳴門橋の道路の下は、鉄道を敷くはずであった空間が歩けるようになっており、海上に450メートルほど進んで、眼下に見事な渦潮を見下ろす。渦潮が見頃となる満潮の時刻の4時半を前に、少しづつ渦が出来はじめているが、パンクチュアルなおばさま達はきっちりと満潮の時刻を待っている。海上は風が強く、橋の東側ではなるとのような渦が、西側では小紋のような渦が巻いていた。

鳴門公園からは路線バスで鳴門駅へ。寺社風の岡田信一郎の作品をさらに仰々しくした感じの何かの新興宗教なのかと思った豪壮な建物は、大塚潮騒荘という大塚製薬の保養所らしい。海辺のロードサイドにはペンキで「芋」と大文字で書かれたドラム缶が見え、鳴門金時が販売されている。大毛島から四国本土へ小鳴門橋を渡っていると、ふと目に入った鳴門ボートの廃スタンドに思わず目を奪われる。ただし、既に南海地震の津波対策の護岸工事と新スタンドへの改修作業を進めているようで、廃墟となるものではないらしい。鳴門は大塚製薬のホームタウンなので、壁面にポカリ、ボンカレー、チオビタと大きくロゴや広告が描かれた工場なども見える。

Saturday, May 03, 2014

焼餅坂



神奈川宿から戸塚宿まで東海道を歩く。酒屋からコンビニに変わっていたかつての友人宅前を過ぎ、大変なにぎわいの洪福寺松原商店街を抜ける。保土ヶ谷から不毛な国道沿いを暫し進み、東海道の最初の難所といわれた権太坂を登る。境木の国境から焼餅坂を下った住宅街を、長いリスが駆け抜けて行くのが見えた。