5月16日。徳島駅前の宿から隣駅の阿波富田の方へ進み、朝餉にうどんをすする。阿波踊り像に見守られながら両国橋を渡り、歓楽街の栄町あたりを歩く。スナック街の狭い路地の合間からは眉山がのぞいている。「なつかしのピンクサロン」ノンノンの素晴らしい店構えに感嘆し、東新町のアーケードを通って徳島駅の方へ戻る。アーケード街には「アニメのマチ徳島」の幟が並んでいるが、阿波踊りのポスター以外に実体や舞台となった作品があるようでもないのが空しい。駅前の森珈琲店のブレンドをいただいて、脇のポッポ街を少しのぞく。駅前の大判焼き屋には「男女踊子及び鳴物増員募集中」の幕が貼り出されている。
徳島駅からは阿波池田行の徳島線各駅停車に乗る。沿線は昨日今日苗を植えたような田圃が多い。水を張った田圃の真ん中には、周囲を完全に水に囲まれてポツンと立つ石碑や墓碑が目立つ。山の位置をみても、徳島線は吉野川に沿って進んではいるものの、川自体は穴吹の手前で少し見えるぐらいである。穴吹駅では7分の停車。うだつの脇町の玄関口の穴吹駅前にも、立派なうだつが上がっている。列車が穴吹駅を出ると国道を「うだつタクシー」が並走していた。