Thursday, January 27, 2011

時刻表昭和史



1月3日。正月三日の朝のバスは無人で、中央線でさえ人が疎らだ。今回はとにかく乗りっぱなしの旅。まずは常磐線のグリーンに乗ってのんびり水戸駅に着くと、安いよ安いよホリデー料金でグリーン席が上野までたった750円というアナウンスが構内に響いている。水戸はボイス展以来ちょうど1年ぶり。今年の方が芸術館に行かねばならないのだが、本日までは休館。休日仕様の水郡線郡山行は7割ほど席が埋まっていた。少し賑やかな常陸大宮駅では、涙を拭いながら別離を惜しむ女子のいる光景などを拝む。卒業シーズンにはまだ早いし、フラの町ももう少し海の方だ。玉川村で上下交換すると、水戸行きは大変混みあっている。袋田駅にて枯れたミニ袋田の滝。これぐらいの気候だと氷瀑は望めないだろう。降りる人の多い東館は茨城の最北端かと思ったら、もうすでに福島に入っていた。水戸駅で買った軍鶏じゃないそこらの鶏弁当をつまむ。この辺りはそれほど寒さが厳しくないのか、ドアの閉じるボタン押す人がいない。川辺沖駅の長椅子にはネコ。終点の郡山からは東北本線の福島行に乗り継いだ。間近に迫る安達太良山が美しい。さらに奥羽本線に乗り継いで、板谷峠を越えると雪の世界へ。本日も峠の力餅は立売している。



夕闇迫る米沢からは米坂線へ。束の間、薄暮の車窓が美しい。すっかり日も暮れ、今泉駅にて下車。山形鉄道との乗り換え駅でもある今泉駅だが、宮脇俊三が玉音放送を聞いた駅前広場には全く何もない。夏の日射しの中で茫然と聞く玉音放送はいかにも敗戦を迎えるにふさわしい時候だったのだろうと思いを馳せつつ、雪の夜のそれもまた凍みるだろうなどと思ってみる。今泉駅周辺は全く地図に忠実に閑散としており、国道のラーメン屋も正月休み。駅に戻って、待合でストーブにあたっていると、ふいに女の子が入って来た。新潟方面の次の列車まで1時間を一人ゆっくり過ごせるものと思っていたので意外だったが、15分ぐらいして他の方面の列車もある。と思いきや、それにも乗らず、そろそろ声でも掛けないと少し気まずいかと思いはじめたところで、約束より遅くなったらしい迎えの友人の車で無事帰っていった。新潟に向かう快速べにばなはなかなかの賑わい。ロングシート対面の窓の外は闇黒なので嘘寝。車内の何処かにさかったネコがいる。ディーゼルはうなりをあげて国境の峠を越えていく。山形から新潟に行く人は案外多い。新潟駅前のビジネスホテルでチェックイン済ますと、後から来た飛び込みのビジネスマンの三人連れが満室で断られていた。居心地のいいホテルは駅周辺の整備に伴う道路拡張のあおりを受け、ほどなく廃業してしまうらしい。