7月7日。震災に消えてなくなる街を目の当たりにして、ずっと先延ばしにしていた京都の離宮を見に行くことにした。個人的にはもっと喪失が差し迫った貴重な物件もあるものの、いい加減見たいと言い続けるのがどうにも白々しい気がする件なので、とにかく行って来た。ゆっくり家を出て、京都に着いたのは午後1時過ぎ。大雨の中、どうしたものかとたじろぎつつ、まずは高山寺に向かった。雨の栂尾山中には蟹や蛙が跳梁し、国宝の石水院では、模本の鳥獣戯画の上を蟻がうろついている。梅雨に濡れる山梔子が瑞々しい。
三条から夕暮れの先斗町を抜け、四条河原町の洋食コロナで念願の玉子サンドをいただく。残念ながらビフカツの方は無く、ピースカツをつまんだ。これも美味い。宿から目と鼻の先ながら、昨冬の一斉検挙で営業再開の見通しのたたない五条楽園には足を伸ばさなかった。ついでに林商店の焼き芋も買えず、百貨店でもとめたおばんざいを夜食に貪る。