Saturday, April 14, 2012

浜通り



4月7日。梅祭りも終盤を迎える水戸を過ぎり、常磐線をいわき駅行に乗り継ぐ。南関東は桜日和だが、なかなか厳しい寒の戻りだ。水戸から先の常磐線は昔々寝台特急のゆうづるに乗ったとき以来で、窓の外の記憶も無い。水戸を出てほどなくして東海駅を過ぎると、東海発電所が遠くに見える。混み合っていた列車は、日立駅でほとんどの乗客を下ろし、全く桜の咲いていない桜祭りだという声を残した。妹島和世設計の駅舎の向こうには日立セメントの煙突が聳える。発車メロディは何故か『いつでも夢を』。駅前の旧家の瓦が無惨に崩れ落ちている。

県境を越えて福島に入ると、車内が学生で混みはじめた。出来ることなら避けたい通学列車だが、「泉駅からいわき駅まで秋吉久美子が通学する車両は常に満員だった」とか「京王線のつつじヶ丘から乗ってくる評判の美少女が久我美子だった」とかいう伝説には、やはりときめく。昼前、湯本駅にて下車。