Wednesday, December 28, 2011

三江線



12月17日。朝日に照らされる福山城を眼前に福山駅の8番線から福塩線に乗り込む。福山にやって来た列車はロングシートで混み合っているが、三次に向かう下りはのんびりと転換クロスシート。この日も雪まじりながら、朝日を浴びた山々は錦秋本番のように照り映えている。電車は著しく寒い。未電化の府中からはキハ120のセミクロスで、車内の温度が上がる。山間に差し掛かってからは雪模様となり、川鵜の溢れている芦田川沿いを超ゆっくり進む。列車に正対して両羽を広げている鵜は、列車と勝負をしている威勢のいいヤツなのか、はたまた何か汽車に恨みでもあるヤツなのか。山間の川沿いを、恐ろしく低速で進む福塩線の車窓が、思いのほか素晴らしい。

三次からは三江線に乗り換える。いち早くボックス席にどっかと陣取ってノートPCを広げている仙人めいた御仁は、かなり風呂を無沙汰にしているようだ。4つのボックス席に各1名と、自分を含めたロングシートの2名を乗せて、淡々と列車は進む。乗務員は研修中らしい2人連れ。地上30mにホームが浮かんでいる宇都井駅を過ぎ、そろそろ屋根が赤茶色くなってきたなと思ったら、やはり島根県に入っていた。潮から粕淵にかけて「はじめて鉄道に乗って見る地元母子の会」が突如開催され、20人ほどが殺到しては嵐のように過ぎ去って行った。三次から2時間ほど運行してきた三江線のこの列車は、石見川本にて1時間半停車する。