10時過ぎに岡山を後にして、吉備線の田園地帯を進む。総社で伯備線を待つ間、駅前に出てベーカリートングウの「上あん」を買い込む。トングウアパート、サンライズトングウ、トングウIIなど、総社駅前ではトングウさんの勢力が絶大だ。時間的には新見駅で午餐にするつもりだったが、あまり空腹でもないので、アーケードのなくなった新見銀座を3年ぶりに歩いてみることにする。この日はすっかり雨が上がったと思ったのに、屋根の無くなった新見銀座を歩く時だけは雨が降ってくる。ニコニコカメラの頭上にも鈍色の空が広がり、覆いの無くなった突き当たりの大店は立派な石州瓦を露にしている。
新見からは姫新線で山間を東へ進む。一両編成の津山行はクロスシートの4箱が即座に塞がれると、すかさず出発した。岡山に入ってから、なんだか旅の乗客がみな氷結を飲んでいる気がしてしょうがない。山中、ハンガーにかかった肌着が人気のない林間の木の枝にポツンと一枚風になびいている。沿線はなかなか立派な瓦の家が多い。刑部駅を過ぎ、一瞬、虹が見えた。