津山から先に行く姫新線の発車までかなりの時間があるので、すぐに津山駅を発車する因美線で少しだけ寄り道する。黒地にガイコツプリントというファンキーなジャージのふくよかな黒人女性が高野駅で降りていくのを見送り、昭和3年開業の古い駅舎が残る美作滝尾駅で下車。つかの間、駅を鑑賞する。駅のすぐ手前にある因美線の橋梁と並んで架かる加茂橋の竣工は親柱によると昭和10年。西加茂村で津山事件の起こる3年前ということになる。橋上、甚だ風が冷たかった。
津山に戻る折返しの因美線は無人である。津山駅で下車し、乗ってきた車両を振り返って見ると、列車は姫新線の作用行に変身していた。日が暮れ、県境のトンネルを潜って上月。窓際は厳しく冷え込み、屋根には少し白いものが見える。作用駅、播磨新宮駅と乗継いで姫新線の終点の姫路まで乗車。大普請中の姫路駅を出ると、大修理中の姫路城を囲う四角い箱がライトアップされてますます四角い。おみぞ筋の書肆風羅堂をのぞき、サム・シェパードの『モーテル・クロニクルズ』を購う。えきそばを食いに駅に戻り、スーパーでバッテラ寿司(ハーフ)や淡路島ヨーグルトを買って、姫路の宿に一宿。