Saturday, November 23, 2013
旧バラ荘
久しぶりに神奈川往還を走る長距離の路線バスに乗って横浜まで出てみた。横浜駅の東側に回ってから水上バスで山下公園まで移動し、中華街に出て軽く魯肉飯をいただく。実家でかなりの供応を受けた後ということもあり、腹ごなしに延々と歩いているうちに野毛あたりに出た。制服の警官が「踊り場のあたり?」などとケイタイで緊張感のあるやり取りをしながら雑居ビルに入っていく。野毛も中ほどに至ると、男性のメイドさんが店頭でお見送りする姿なども見える。そういえば、復活したジャズ喫茶のちぐさも行かねば。
Sunday, November 17, 2013
木葉猿
日曜の午後、東中野の洋食屋で腹拵えして東の方へ歩いてみる。神田川を渡り、外国語しか聞こえてこない北新宿の住宅地をしばし歩む。百人町の三丁目と四丁目のアパートに挟まれて細かく分かれた区画の地域は、戦後の越冬住宅の場所なのだろうか。
山手線を挟んで西の西戸山公園で生垣見本園を見学した後は、東に渡って戸山公園の箱根山を登る。戸山からは若松町まで南下して民芸店の備後屋へ。かつてこちらで見て以来、いつか欲しいと思っていた「馬乗猿」をついに購入した。そのまま大久保通りを神楽坂まで歩き、麦マルにて小憩。気温的に日和ではないが、こたつ席というのは嬉しい。もちろんマンヂウは美味い。街中には鏡花の生誕140年かなんかのパネル展をやっているポスターが見える。飯田橋まで坂を一往復し、小滝橋行のバスで帰る。
Friday, November 15, 2013
山の手文庫
良い気候の続いた3日ほど外に出られなかったこともあり、雨模様の中、バスを乗り継いで郊外をうろついた。まずは昼過ぎに調布駅まで出る。久しぶりにアジアンタイペイのランチに行きたい気もしたが、一人でバイキングでもないので、同じくひし美ゆり子さん系列の台北飯店でチャーハンにする。平日昼過ぎの台北飯店はかなりの賑わいで、次々と注文の入る「ピードン」が気にかかる。調布からは渋谷行のバスに乗り、のんびり本を読みながら移動。三宿でバスを降りて駒場東大前まで歩き、日本民藝館を訪ねる。
民藝館の展示は現在「柳宗理の見てきたもの」の特別展。曲げわっぱのような北欧サミ族のバター入れや、緑釉のフランス製肉汁受皿、幾何文様のブラジルの大壺とかに目を奪われつつ、柳家の食卓で使われていたモノを見て、今更ながら、濱田庄司も結構いいなと感じる。しかし、あのでかい模様のものだけはやはり好きにはなれない。他に柳家のものでは、旧柳宗悦邸の芹沢銈介による貝文の小襖がまた素晴らしく、わかりきったこととはいえ、柳宗理はいいものを見て育っているなと思うのであった。
民藝館を出てからは、東大の先端研を抜けて池ノ上の方へ。出来ることなら久しぶりにフランス屋の弁当を買って行きたかったのだが、やはり時間的に早過ぎる。いつ開くのか定かではないフランス屋を後にして、井の頭線の踏切を渡り、そのまま真直ぐ淡島の方へ歩く。そういえば、淡島通りにもバスが通っていたなと思い出し、少し歩いてバス停を見つけたところ、ちょうど経堂駅行がやってきたので、経堂まで乗って行くことにした。
経堂といえば茶房李白。すずらん通りを進んで店に伺うと、ちょうど玄関から出てきたご店主が気まずい顔をする。もう閉店時間なのかと思い尋ねると、「5時までと思っていてて…」と仰るので、そんな時間ならしょうがないと、「また来ます」と告げて時間を見れば、やっと4時15分を過ぎたところであった。
帰りは経堂から小田急線に乗る。雨もようやくおさまった。高架から西の方を望めば、薄いエメラルドグリーンの空に、焼けた雲が浮かんでいた。
Monday, November 11, 2013
Sing Out
のんびり新橋に到着してみると、いつの間にか昼を食っている時間がなくなっていて、取り急ぎサンアントンベーカリーでコロッケパンとバナナサンドを買い込んで文化劇場へ向った。時間を合わせて行ったのが『ナッシュビル』を上映するタイミングだったので、見逃すと3時間待たなくてはならなくなるのだ。新橋のSL広場は今日もまた古書市を開いていたのだが、流石に3時間は辛いだろう。
劇場で映画を見るのは全く久しぶり。同列の紳士が高く組んだ足のまっ白い靴下が闇の中に眩く浮かぶ。そして、紳士がおにぎりをパリパリと召上がっては、熱心にメモを取る為に繰り出すボールペンのカチカチ音に、なんとも耳が研ぎ澄まされる。とはいえ、その席はおそらく自分も幕間にパンをモグモグさせたせいで退散させてしまった方の席だったのだけど…。ただし、二本目の『ハロルドとモード』がはじまると、そんなのはほぼ関係なくなってしまうのだった。
16時半に上映が終わってフラフラとガード沿いを北上すると、有楽町の自販機角打ちの食安では、もう晩酌がはじまってる。そのまま、真っ直ぐ東京駅まで歩いて行こうと思っていたのだが、寒空の下でメールの返信などをしてすっかり手がかじかんでしまい、ちょっとホットコーヒーでも飲んで行こうと有楽町ビルヂングのストーンへ。それにしても、禁煙席というのは単に煙くないというだけで、せっかくのモダン喫茶の醍醐味を味わえない愚策であった。小半時ほど休んで、東京駅まで歩いて帰る。
Thursday, November 07, 2013
Tuesday, November 05, 2013
チヒョルト
神田を過ぎて、新橋で下車するのは久しぶりだ。新橋からガート沿いを少し有楽町の方へ進んで銀座ブラン亭を訪ねる。狭いカウンターのみの完全なバーであるが、昼だけカレーを出す店で、そのカレーがなんとも美味い。先客は一人。ママがマラドーナのワールドユースを見に行ったとか、当時は日韓戦では韓国の応援の方が多かったなどという話をされている。こちらは相変わらず閉じた人間性を見透かされたのか、会計までそっとしていただいた。会計が済んで「今日は天気がいいですね」と仰られるので、「夜は冷えるそうですよ」と応えると、「お酉さまも終わりましたしね」とくるので全く痺れてしまう。
そのまま銀座六丁目を進み、銀座グラフィックギャラリーでチヒョルト展。ペンギンブックスは勿論いいけど、ペンギンスコアなんてのもいい。ペンギンブックスの展示品にベラミがあったりするのも嬉しかった。展覧会のカタログは残念ながら、まだ束見本で11月中旬完成とのこと。
大手町から神田橋を渡り神保町。中古CDのタクトの店頭で、ふいに藤圭子の姿が目に飛び込んできたので、そういえば『面影平野』だけでも欲しいなぁとぶらっと入ってみる。店内で掛かっている素敵な曲は何という曲だろうなどと思っていたら、次の曲は吉田美奈子の『ライトゥン・アップ』だからもう堪らない。思い切って店長のオススメ30枚セットとかお願いしたくなるが、未知の名曲の膨大な鉱脈感にひとり勝手に消耗し、店を後にする。
水道橋まで北上してから折返し、九段から番町を抜けて四ッ谷を通り、信濃町まで歩く。そういえば、最後に新宿眼科画廊でトマソン展を観ようと思っていたのだが、歩き過ぎて忘れてしまった。
Sunday, November 03, 2013
ラリーX
なんとなく続けて浅草にやってきてみたら、町は酉の市で大変なことになっていた。空いている方、空いている方と北へ進んで千束通りのデンキヤホールへ辿り着き、名物のオムマキをいただく。隣では裃の方がビールを飲んでいで、奥のテーブルゲーム機からする音は「ラリーX」である。向こうのお爺さんの召し上がっているホットケーキも美味そうだ。
上野を過ぎ、本郷まで歩いて名曲喫茶麦で小憩。先客に倣って自家製プリンを頼んでみると、これがまた美味い。麦はやはり喫茶だけでなく、食べ物をしっかり食べに行く必要がありそうである。最後に小石川後楽園の裏を通って飯田橋まで。真っ暗に静まりかえった後楽園の入口で、休憩所営業中の明かりだけが煌煌と灯っていた。
上野を過ぎ、本郷まで歩いて名曲喫茶麦で小憩。先客に倣って自家製プリンを頼んでみると、これがまた美味い。麦はやはり喫茶だけでなく、食べ物をしっかり食べに行く必要がありそうである。最後に小石川後楽園の裏を通って飯田橋まで。真っ暗に静まりかえった後楽園の入口で、休憩所営業中の明かりだけが煌煌と灯っていた。
Friday, November 01, 2013
浮雲
神田駅を出て東神田の方へ進み、左衛門橋を渡って浅草橋の洋食一新亭でオムライス。昼時は過ぎたようで客がいなかったが、しばらくすると写真仲間らしい方々がポツポツやってくる。ご主人の写真集他、写真系書籍の積まれている店内に紛れ、密かに身を隠している『富永一朗のたべある記』がなんだか気になる。
鳥越神社の方を回って浅草橋の駅に戻ると、駅前の銀杏岡八幡神社には、ネコとネコを可愛がる方々で大層賑わっている。おまけに人の方はといえば、わざわざ通ってきているような気配さえあった。そういえば、浅草橋駅前の針師さんの渋い家は今風になってしまっている。
浅草橋駅からは総武線で本八幡へ。市川市文学ミュージアムに赴き、ささやかな水木洋子展を見学する。それにしても水木洋子脚本で成瀬巳喜男監督の『濹東綺譚』が実現しなかったのは改めてつくづく残念に思われる。水木洋子に宛てた今井正の書簡の筆跡や言葉には、つい好感を抱いてしまった。ミュージアムには、今日の荷風として『断腸亭日乗』の一節がスクリーンに映し出されている。
帰りは京成の八幡駅から京成線に乗る。荷風の晩年に通ったことで有名な京成八幡駅前の大黒屋は、水木さんも利用していたらしい。夕陽を背にしたスカイツリーに向い、京成線は西に押上まで。押上からは吾妻橋を渡って浅草まで歩く。市川から浅草にやってきたのだから、せっかくなので荷風ゆかりのアンジェラスで小憩。ポワールのパイを購い、八重洲行きのバスにて帰る。
Subscribe to:
Posts (Atom)