Thursday, February 20, 2014
枯野の旅
17日。朝湯につかって館内をブラブラ歩いていると、フロントに人が集まっている。話を伺うと、3日ぶりに運転再開見込の立った吾妻線の最寄り駅まで、宿から車を出してもらえるという。急いで荷をまとめてフロントに戻り、従業員の女の子の自家用軽自動車に同乗させてもらう。雪深い四万街道をチューチュートレインや銀河鉄道スリーナインを聴きながら、無事、中之条駅まで楽しく送っていただく。吾妻線の方はといえば、予想に違わずといった感じで、運転再開はさらに遅れており、駅前の喫茶店で小憩することにする。若山牧水の『枯野の旅』が掲げられた店内では、小渕家を中心に、福田、中曽根、おしゃべり一太と政治談義に花が咲いている。混合った吾妻線を高崎で下り、栄寿亭でカツ丼を食ってから、湘南新宿ラインに乗り込んでようやく人心地。ただし、車窓から見えたのは、車庫の屋根やビニールハウスが潰れている無惨な姿であった。
Wednesday, February 19, 2014
温泉下駄
16日。時折、日も射して明るいが、この日もバスは来ないことになった。車で来ている人たちは自力での脱出を試みはじめ、宿によっては上越新幹線の駅まで送迎が出ているという。タクシーにも断られたこちらは再延泊が決定。なかなか思うようにいかない街道の除雪をよそに、温泉街はすっかりきれいになったので、またぞろ歩いて、評判の温泉饅頭を購入。これが本当に美味い。ただし、焼きまんじゅう屋さんの方は、今日もシャベルカーの運転で甚だ忙しい様子。お向かいの柏屋カフェもまだ休みながら、落合通りの蕎麦屋は復活しているので、軽く蕎麦を啜っていく。週を明けるとまた雪の可能性もあるということなので、流石に明日には脱出したいところである。
Tuesday, February 18, 2014
長逗留
15日。さて、雪はどうなったかと軽く畏れながら障子を開けると、想定していた最悪な状況よりもまずい積もりっぷり。テレビで状況を確認しようと思ったものの、全く信号を受信する様子がない。フロントに尋ねてみると、路線バスどころか街道ごと遮断されているという。今日のところはタクシーも出ないということで、とりあえず土曜の延泊を決め、観念して本格的な湯治の構えに入る。閉ざされた宿の中ではあるが、ごはんかおかゆが選べる朝の食事もまた良い。ただし、朝方には辺り一帯で停電もあったらしく、自家発電のおかげで何事もなかったように過ごせたものの、新館の方のエレベーターはすっかり沈黙していた。
四万あたりの停電はほどなく納まり、昼は宿でおにぎりをいただく。午前中に綺麗に雪かきした宿の前も、午後なって再び雪が積もっている。幾分降雪が落ち着いたところで、200メートルほど離れた商店街まで雪中行軍を敢行。たかが200メートルの行程とはいえ、一夜にして80センチ以上の雪が積もった道は完全に埋もれ、人一人通る溝がかろうじて踏み込んである程度である。ふらつきながら、なんとか商店街に辿り着いてみると、町の方々は雪かきに追われいるので、商店を開くどころではない。名物の焼きまんじゅう屋では、ご主人自らシャベルカーを運転していて、それも朝の四時から休みなしとのことである。シャベルを手にして立ち尽くす蕎麦屋のお婆さんも相当げっそりといった風情だ。明日にはバスも動くという情報はあるのだが、あまり信用はできまい。
四万あたりの停電はほどなく納まり、昼は宿でおにぎりをいただく。午前中に綺麗に雪かきした宿の前も、午後なって再び雪が積もっている。幾分降雪が落ち着いたところで、200メートルほど離れた商店街まで雪中行軍を敢行。たかが200メートルの行程とはいえ、一夜にして80センチ以上の雪が積もった道は完全に埋もれ、人一人通る溝がかろうじて踏み込んである程度である。ふらつきながら、なんとか商店街に辿り着いてみると、町の方々は雪かきに追われいるので、商店を開くどころではない。名物の焼きまんじゅう屋では、ご主人自らシャベルカーを運転していて、それも朝の四時から休みなしとのことである。シャベルを手にして立ち尽くす蕎麦屋のお婆さんも相当げっそりといった風情だ。明日にはバスも動くという情報はあるのだが、あまり信用はできまい。
Monday, February 17, 2014
世のちり洗う
14日。先週に続く雪の予報を押して、群馬の四万温泉へ湯治に向かった。小雪まじりの都内から直通バスに乗込むと、まずは先週の大雪の時には同じ便が12時間以上かかったという運転手からの脅しが入る。ただし、今日のところはまず大丈夫だろうということで、バスは順調に関越に向かって滑り出す。すっかり気を許して休憩予定の関越のSAのことを調べ始めたところで、結局、雲行きが怪しくなってルート変更。東北道から北関東自動車道と迂回して高崎に向かうことになる。些か冷や汗をかかされたが、その後は休憩時間を節約してほぼ予定と変わらずに温泉に到着。雪まじりの温泉街を少しだけ歩き、15時過ぎには早々に投宿して、湯治モードに入る。
今回お世話になった宿は、日本最古の木造湯宿建築だという積善館本館。昔ながらの湯治宿で、嫌が上でも湯治ムードは高まる。昭和5年に建てられたという大正ロマンな「元禄の湯」も勿論素晴らしいが、雪見の「杜の湯」がまたひじょうに気持ちよい。常日頃は、早い時間に投宿することも稀なら、投宿したとしても、つい町歩きに時間を使ってしまうところ、本格的な山の雪のために、出かけることもままならないのも一興である。炬燵にあたり、冬季五輪をごろごろと眺めては湯に浸かり、またうとうとしながらテレビを見る。宿の素朴な食事がまた美味い。夜半の雪も恐れていたほどは強くならず、五輪中継の画面を囲って流れる「記録的大雪」という文字を見て、都会の雪はいつも大変だなと思いながら、フィギュア男子のフリーを待つ。薄い壁の向こうからも羽生選手の金メダルを祝う声が聞こえた。
今回お世話になった宿は、日本最古の木造湯宿建築だという積善館本館。昔ながらの湯治宿で、嫌が上でも湯治ムードは高まる。昭和5年に建てられたという大正ロマンな「元禄の湯」も勿論素晴らしいが、雪見の「杜の湯」がまたひじょうに気持ちよい。常日頃は、早い時間に投宿することも稀なら、投宿したとしても、つい町歩きに時間を使ってしまうところ、本格的な山の雪のために、出かけることもままならないのも一興である。炬燵にあたり、冬季五輪をごろごろと眺めては湯に浸かり、またうとうとしながらテレビを見る。宿の素朴な食事がまた美味い。夜半の雪も恐れていたほどは強くならず、五輪中継の画面を囲って流れる「記録的大雪」という文字を見て、都会の雪はいつも大変だなと思いながら、フィギュア男子のフリーを待つ。薄い壁の向こうからも羽生選手の金メダルを祝う声が聞こえた。
Tuesday, February 11, 2014
Sunday, February 09, 2014
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