14日。先週に続く雪の予報を押して、群馬の四万温泉へ湯治に向かった。小雪まじりの都内から直通バスに乗込むと、まずは先週の大雪の時には同じ便が12時間以上かかったという運転手からの脅しが入る。ただし、今日のところはまず大丈夫だろうということで、バスは順調に関越に向かって滑り出す。すっかり気を許して休憩予定の関越のSAのことを調べ始めたところで、結局、雲行きが怪しくなってルート変更。東北道から北関東自動車道と迂回して高崎に向かうことになる。些か冷や汗をかかされたが、その後は休憩時間を節約してほぼ予定と変わらずに温泉に到着。雪まじりの温泉街を少しだけ歩き、15時過ぎには早々に投宿して、湯治モードに入る。
今回お世話になった宿は、日本最古の木造湯宿建築だという積善館本館。昔ながらの湯治宿で、嫌が上でも湯治ムードは高まる。昭和5年に建てられたという大正ロマンな「元禄の湯」も勿論素晴らしいが、雪見の「杜の湯」がまたひじょうに気持ちよい。常日頃は、早い時間に投宿することも稀なら、投宿したとしても、つい町歩きに時間を使ってしまうところ、本格的な山の雪のために、出かけることもままならないのも一興である。炬燵にあたり、冬季五輪をごろごろと眺めては湯に浸かり、またうとうとしながらテレビを見る。宿の素朴な食事がまた美味い。夜半の雪も恐れていたほどは強くならず、五輪中継の画面を囲って流れる「記録的大雪」という文字を見て、都会の雪はいつも大変だなと思いながら、フィギュア男子のフリーを待つ。薄い壁の向こうからも羽生選手の金メダルを祝う声が聞こえた。