Saturday, August 04, 2012
岐阜
7月26日。平日の伊東行521Mは完全に通勤仕様の列車だが、特急車輌のクロスシートに旅の気分は高まる。平塚で通勤モードが一段落すると、海を見下ろす根府川駅にて列車交換が入り、熱海駅で伊東線に進む521Mを見送ると、いよいよ鬱陶しいJR東海の区間に突入する。サッカーどころの静岡を行く東海道線だが、おばあちゃんが付箋を立てて熱心に読んでいるのは週刊ベースボールだ。興津、浜松と余儀なくされる細々した乗継ぎを経て、豊橋の駅そばにてきしめん。おばちゃんに「熱いんでいいの?」と念を押されながら、熱いのがいいんですよとか言って初志を貫徹してみるが、やはり暑すぎる日は冷たい麺をお勧めしたい。
大垣行きの列車を岐阜駅で降り、南口のサカエパンに向かう。臨時休業の張り紙には地元の人も呆然と立ち尽くすタイミングの訪問で、炎天下、並んで張り紙されたアイスクリームパンにそそられる。この日の岐阜は37℃を超え、あまりの暑さには死の危険さえも感じるほどだ。ポン引きのお兄さん方の声をかき分けながら、南口をそのまま西へ金津園を抜けて北側に線路をくぐると、広大な繊維問屋街に出る。ブロックがまるごとごっそり取り壊されて剥き出しになってしまった繊維街のビル裏の、延々と続く無機質な壁の長城っぷりのあまりの美しさにハッとする。
繊維街を抜けて駅前に戻り、ちょうど来たバスに乗って柳ヶ瀬まで足を運ぶ。南口にあれだけの特殊浴場街があるというのに、柳ヶ瀬の歓楽街もなかなか巨大だ。ただし、こちらの昼間は静かなもの。味わい深い路地が続くのだが、あんまり暑くてどうでもいい。いくばくかの涼を望めたかもしれない口裂け女のお化け屋敷が、施設メンテナンスとかで臨時休業なのも何だか恨めしい。口裂け女は岐阜の発祥だという。蒼井優さまのかき氷本で見た赤鰐は、炎暑のもと大行列だったので、今回は見送らせていただく。