福島を出た列車は、貝田駅にかけて少しづつ勾配を上り、東に広がる福島盆地を見渡す。白石付近では強風だとのことで最徐行で進み、30分ほど遅れて終点仙台に到着。仙台ではひとまず古本カフェの火星の庭に訪い、『映画ディテール小事典』(川本三郎)、『京都インクライン物語』(田村喜子)、『伊藤晴雨物語』(団鬼六) の三冊を購う。一番町を抜けては文化横丁に至り、早めの夕食には餃子の八仙へ赴く。午後7時前の店は既に満席で、しばしカウンターが空くのを待つ。焼餃子とチャーハンを頼むと、飲み物がお茶でいいのか確認され、「茶」を聞き損なってしまったあげく「チャーハンで」と繰り返してしまうから全く下戸は嫌である。八仙のカウンターの中は家族総出。指揮を執るお婆さんの下、お孫さんも4人ほど動員され、戦場のような注文を捌いていく。餃子は多分今までで一番美味かった。ここはチャーハンなしで焼き2・水1とかでもよかったかもしれない。つまみのクラゲとかも無性に美味そうで、飲めないけど紹興酒の熱燗の器もひじょうにそそられるものがあった。
ついでに壱弐参横丁をぶらっとして、鉄塔文庫を発見するが、「古本と立ち呑み」と言われると下戸には些か敷居が高くてスルー。ぶらぶら宿に向かう道すがら、街の映画館の桜井薬局セントラルホールをのぞいていくと、見たいと思っていた大寅興行社のドキュメンタリー『ニッポンの、みせものやさん』が翌日からの上映だったのでほぞを噛む。とぼとぼ駅まで戻り、白謙のミニ笹かまを購入してから投宿。