Wednesday, May 29, 2013

ダンボール村



帰り道、「新宿ダンボール村」展のダンボールハウスで一休み。ニーナ・シモンが静かに流れている。紀伊國屋ホールからかすかに漏れ聞こえてくるのは高岡早紀さんの声だろうか。

Sunday, May 26, 2013

スオミ



京王閣の蚤の市に立寄り、アラビアの皿を購う。フィンランド国鉄の食堂車のものだとか。

Saturday, May 25, 2013

五足の靴



玉屋通りの橙書店などを素見しつつ新市街を抜け、辛島町の電停から市電に乗って、新町の長崎次郎書店を眺める。市電で終点の上熊本まで北上し、上熊本からは熊電の菊池線に乗換える。上熊本に入線してきた車輌は紛れも無く目当てにしていた旧東急5000系の青ガエルである。ただし、その緑の車体は、無惨にもケロロ軍曹のラッピングに覆われている。車内では東急の広告つり革が派手に揺れて網棚にぶつかりキンキンと音を立てているのが微笑ましいのだが、車内アナウンスもまたケロロ軍曹であった。北熊本駅からは熊電の藤崎線に乗り換えて南下し、通町筋の北端にある藤崎宮前駅に戻る。

通町筋では大型老舗書店の長崎書店で、万田坑で句碑を見てきた『五足の靴』という北原白秋らの九州漫遊記と、通潤橋を作った肥後の石工を描いた岩波少年文庫の『肥後の石工』を購う。長崎書店はセレクトぶりもなかなか面白く、オリジナルのブックカバーとくまもんブックカバーもまた素晴らしい。

熊本蜂楽饅頭で回転焼をつまんで、純喫茶ビギンにて長崎風ミルクセーキの小憩。夕方の市電はひどく混んでいるので、空いているバスの方に乗って熊本駅へ。熊本駅の土産店も恐るべき長蛇の列で、街を挙げて学会を歓迎する意義を再び痛感した。駅の食事処でだご汁、馬刺、辛子蓮根などの郷土料理を見繕った火の国定食をいただいて、いきなり団子を購い土産に空港に向う。熊本民芸の馬乗り猿もあれば欲しいと思っていたのだが、残念ながら見当たらず。遠からず熊本には再訪したいのだが、やはり馬乗り猿は最初に見つけた東新宿の備後屋で買ってしまおうかな。

Friday, May 24, 2013

国際繊維



何気なく見送った下り列車のくまもん号の車内に、一瞬あの着ぐるみのシルエットを見る。日奈久からは熊本駅まで昨日のルートを折り返す。土曜なのでSL人吉とすれ違うだろうと思って少し注意して見ていたものの、ほぼなんだかわからない瞬間の出来事であった。

熊本駅前から市電に乗って河原町の繊維問屋街を訪ね、熊本に足を運ぶきっかけであった古びれたマーケットの佇まいを堪能する。河原町の電停からは再び市電に乗り、熊本城の本丸に隣する中心街の通町筋まで。この週末は学会で混雑が予想されるという話を事前に聞いていたものの、何のことやら実感が沸いていなかったのだが、目当てにしていた馬肉料理屋の菅乃屋が、クギを刺されていた通り満席。町中至る所に貼られたチラシが歓迎をあらわしているのは日本糖尿病学会の年次学術集会で、地方コンベンションにこれほどの経済効果があるのかと吃驚する。そういうことならと、夕方にでも行こうかと思っていたうどんのみのやでごぼ天うどんをいただく。うどんで軽く汗を流した後は、冷たい飲み物をいただきにそのまま純喫茶シグナルへ。60年代のメニューを復刻したというミント入りのジュレップアイスコーヒーをいただく。上品なマダムがセットするストローがグラスの上に横たわる姿がまた素晴らしい。



カモン・フィール・ザ・ノイズが流れる下通町のアーケードから、クラブ通りや酒場通りを抜けて銀杏通りに赴き、谷ナオミ様のスナック大谷を拝す。スナック大谷もこれでもかとばかりに糖尿病学会歓迎のチラシを掲げていた。

Thursday, May 23, 2013

日奈久



八代行の快速に乗って、鹿児島本線を南下する。松橋駅で見えた年代物の看板によれば、今年の不知火は9月4日とのこと。八代からは肥薩おれんじ鉄道に乗継いで日奈久温泉へ。日奈久温泉駅では等身大の山頭火さんがプラットホームで出迎えている。温泉街までぶらぶらと進み、日奈久名産のちくわを歩きながら齧る。町中には至る所に山頭火の句の札が掛かっており、「猫もさみしうて鳴いてからだすりよせる」なんて句の札も見えるが、なんだか日奈久にはぐだっと道路の真ん中に横たわる従容とした猫が多い気がした。山頭火が泊まったという木賃宿の織屋は、勝手に灯りをつけて座敷に上がるシステム。階上、一続きの寝間を見て、本物の木賃宿とはこういうものなのか、と痛烈なイメージに襲われる。畳に落ちたガガンボの亡骸が、またなんとも山頭火の面影を感じさせた。



名産の竹細工店で無造作に積まれた肥後守に魅かれるものの、「特価にて」とあるのみで値段のヒントがなかったこと、帰りが飛行機なので面倒だったこと、まったく人気が感じられなかったこともあり自重する。町外れの閉まっている竹細工屋では、八代亜紀が竹帽子をかぶっている写真が見えた。15歳の八代亜紀も舞台に立っていたという八代市内のグランドキャバレー白馬は、今回はスルーする予定。本物の木賃宿で一夜を過ごしたかったものだ…などと思いつつ、この日は過分にも重文の金波楼に泊まらせていただく。ご馳走をいただいて温泉につかり、ゴロゴロしつつ部屋に備えつけのタウンガイド誌を捲っていたら、熊本市内にある谷ナオミさんのスナック大谷が掲載されている。「元日活ポルノ“SMの女王”谷ナオミと素敵な会話をしてみませんか?」とのことだが、素敵な会話は荷が重そうなので、街並だけでも明日伺いに行こうと思う。

Wednesday, May 22, 2013

万田坑



大牟田駅前から西鉄バスで熊本との県境まで進み、少し歩いて県境を越えると、すぐに現れた炭鉱鉄道跡の軌道を辿って、三池炭鉱の万田坑へ向う。受付の万田坑ステーションに立寄ると、開場を待ち構えていたと思しき炭鉱OBのガイドの方に歓待を受ける。小1時間だったはずの説明は2時間近くにも及び、これでもかと詳説をしていただく。些か調子を狂わされたものの、万田坑が世界遺産クラスであるということは心底得心させられる。万田坑構内はそれを象徴する竪坑坑口や巻揚機室が言うまでもなく素晴らしいことに加え、半ば埋もれたようなレールが構内に延びる様が何とも味わい深い。若干一組見えたコスプレ女子の撮影会に関しては、「あのような方もよくいらっしゃるんですよ」とのことである。大牟田に戻るバスの時間が半端になったので、帰りは荒尾駅まで歩くことにする。思わぬ炎天下の長歩きとなり、ローカル菓子パン「マンハッタン」という補給食を持っていたことに助けられた。何とか荒尾に辿り着くと、印度カレー荒尾店でカレーをかきこみ、荒尾駅へと急ぐ。荒尾駅の名所案内には一昨年に廃止となった荒尾競馬場がまだ標されている。


Tuesday, May 21, 2013

ユリイカ



5月17日。木村屋のホットドックをつまみ、西鉄久留米駅から大牟田線を南へ。色付き始めているなと思った麦の穂は、柳川を過ぎる頃にはすっかり黄金色になっている。列車を終点一つ手前の新栄町駅で降り、大牟田駅まで歩く。新栄町駅前のビルの谷間のくすんだ裏路地に、陽が差し込んでなんとも美しい。三池炭鉱専用鉄道のガードを潜り、閑散とした木造アーケードの新銀座商店街を進む。新銀座商店街と並行する大牟田川の擁壁にネイブルランドのタイル絵が組み込まれているのが見える。映画『ユリイカ』の舞台となったネイブルランドは今ではすっかり更地になったという。

Monday, May 20, 2013

赤いスイートピー



久留米駅の構内には松田聖子の『赤いスイートピー』が流れ、女子高生の集団がサビを口ずさんでいた。JRの久留米駅を出て、池町川ぞいに西鉄の久留米駅の方へ向う。文化街のアーケードを抜けて、久留米のソウルフードだという木村屋のホットドックを買い求め、新世界をさすらう。再開発の進む六ツ門町の新世界は、奥の半分が高層マンションになってしまったものの、料飲店街の路地が辛うじて残されていた。静まりかえった路地では、廃屋となったカフェ新珠の割れた窓へ猫が飛び込んで行く。こちらは開店を待って飛び込んだ五十番で焼餃子を軽くつまむ。カウンターに並び「ビールば」「酒ば」と呟くように注文する御老体の渋い飲みっぷりにはすっかり痺れる。



餃子を一枚で自重して、老舗大衆食堂の松尾食堂にも伺ってみるが、残念ながら夜はやっていないようなので、ひとまず投宿する。屋台のラーメン屋が開くのを待ち、日の暮れる頃合を見て外出。松田聖子も通ったと言われる甘太郎にて団子を購ってから、とんこつの元祖だという南京千両という明治通りの屋台でラーメンを啜る。駅前の商店街の横道を行くと、とんこつラーメン発祥の地の路地裏は、なかなかとんこつ臭い。宿に戻ってTVをつけるとBSの『鉄道絶景の旅』が鹿児島本線篇だったので、峠恵子さんの「君だけの指定席」を聴きながらごろりとした。

Sunday, May 19, 2013

つばめ



5月16日。例年通りGW明けに神戸へ春の墓参りに出かける。今年は墓参を足がかりに、全線に乗ったことの無かった山陽新幹線で九州まで足を伸ばすことにした。このような行程の場合、宮脇俊三ならば、少なくともどこかで寝台を組み込んでいただろうし、今は同じ墓に納まった父もそのような旅程で九州に連れて行ってくれたものだが、現在そのような選択肢は存在しない。

豹柄に彩られた倖田組のタクシーで六甲山中の墓苑を巡ると、ガールズソング特集のラジオは、意外にも「ガールズ・オン・フィルム」に「ガールズ・アンド・ボーイズ」という選曲。ゆっくりと墓参を済ませてから、三ノ宮でうどんを啜り、新神戸に戻って再び新幹線に乗込む。姫路で手柄山の回転展望台を望み、岡山で百間川を渡って列車は進む。とはいえ、山陽新幹線は聞きしに勝るトンネルぶりで、その後の見せ場は徳山のコンビナートぐらいである。博多からは九州新幹線の乗換えて久留米へ。九州新幹線直通のさくらが満席だったが故に、止むなく博多で乗り継いだ九州新幹線のつばめだったが、JR九州の車輌に乗れるのはやはり楽しい。

Saturday, May 04, 2013

ナイトとうきょう



書原のある町はいいな。