Saturday, May 25, 2013

五足の靴



玉屋通りの橙書店などを素見しつつ新市街を抜け、辛島町の電停から市電に乗って、新町の長崎次郎書店を眺める。市電で終点の上熊本まで北上し、上熊本からは熊電の菊池線に乗換える。上熊本に入線してきた車輌は紛れも無く目当てにしていた旧東急5000系の青ガエルである。ただし、その緑の車体は、無惨にもケロロ軍曹のラッピングに覆われている。車内では東急の広告つり革が派手に揺れて網棚にぶつかりキンキンと音を立てているのが微笑ましいのだが、車内アナウンスもまたケロロ軍曹であった。北熊本駅からは熊電の藤崎線に乗り換えて南下し、通町筋の北端にある藤崎宮前駅に戻る。

通町筋では大型老舗書店の長崎書店で、万田坑で句碑を見てきた『五足の靴』という北原白秋らの九州漫遊記と、通潤橋を作った肥後の石工を描いた岩波少年文庫の『肥後の石工』を購う。長崎書店はセレクトぶりもなかなか面白く、オリジナルのブックカバーとくまもんブックカバーもまた素晴らしい。

熊本蜂楽饅頭で回転焼をつまんで、純喫茶ビギンにて長崎風ミルクセーキの小憩。夕方の市電はひどく混んでいるので、空いているバスの方に乗って熊本駅へ。熊本駅の土産店も恐るべき長蛇の列で、街を挙げて学会を歓迎する意義を再び痛感した。駅の食事処でだご汁、馬刺、辛子蓮根などの郷土料理を見繕った火の国定食をいただいて、いきなり団子を購い土産に空港に向う。熊本民芸の馬乗り猿もあれば欲しいと思っていたのだが、残念ながら見当たらず。遠からず熊本には再訪したいのだが、やはり馬乗り猿は最初に見つけた東新宿の備後屋で買ってしまおうかな。