静岡から乗り込んだ浜松行の列車には、真新しいタミヤ模型の紙袋を下げたスーツ姿のお嬢さんの姿などが見える。終点の浜松で下車し、少し街を歩いてみる。駅を南に出ると、まずはサッポロ街。骨組の間から射し込む光がなかなか素敵なアーケードの下、「喫茶バー初」「SNUCK宇宙」と趣ある看板の並ぶサッポロ街だが、すぐ隣からは工事の振動が響き、ベニヤに閉ざされた店舗もあって、風前の灯火のようだ。上空に巨大なブラジル食品店の看板を見上げながら、線路を潜って北口にまわり、続いて千歳町のスナック街を歩く。「おしゃれ」を歌うスナック群の間で、「SNAKミニ」のロッソネロが男前である。強烈な日射しの中、木下惠介記念館まで歩くのはなかなか大義なので、浜松はそこそこに切り上げて先を急ぐことにする。