Sunday, September 27, 2015
椰子の実
松阪からは快速みえに乗って鳥羽まで。賑わう駅前の磯料理屋をやりすごし、気のおけない感じの食堂に入ったものの、すぐに遊覧船から降りてきた人で殺到した。すっかり看板の文字の色も薄くなった鳥羽秘宝館の廃墟を通り、商店街をぐるっとすると、待合津の國なる妓楼跡が残っている。鳥羽城の丘に登り、城跡に建つアールデコな旧鳥羽小学校の鉄筋校舎を眺める。丘を下りると一つ隣の中之郷駅で、駅の反対に回ると伊勢湾フェリーの乗り場がある。
ターミナルの一画にはちょっとした伊勢湾フェリーギャラリーがあり、柳原良平の絵も一幅掛かっている。船室に入り、窓際を確保したものの、ついついモニターに流れているサンダーバードに、目がいってしまった。波にゆらゆらと揺られて、ウトウトしていると、船内のアナウンスで、「潮騒」の神島を過ぎることが告げられた。
伊勢湾を渡った伊良湖岬の浜は、「椰子の実」のモデルとなったらしいのだが、船着き場からは辿り着くのになかなか厳しそうな道のりだったので、道の駅でメロンアイスを食べてくつろぐ。渥美半島をバスで進むと回りは行き交う車両はトラクターだらけで、完全な農業国だ。三河田原駅からは豊橋行きの電車に乗る。すっかり勘違いしていたが、ステンレスの車両で名鉄っぽくないなと思っていたら、豊橋鉄道であった。
鳥羽から3時間半ほどかけて豊橋に到着し、駅前商店街の玉川うどんでカレーうどん。店内には『みんなエスパーだよ』のポスターがあり、「東三河出身の園子温監督が故郷で凱旋撮影!豊橋・豊川の魅力をスクリーンで満喫!」との惹句が踊っていた。豊橋からはガラガラのこだま自由席でのんびりと帰った。