Wednesday, October 28, 2015
柳葉魚
10月24日。霜降。網走の朝の気温は6℃。早朝の駅の待合室のモニターには、北海道知事がサハリンを訪問したというニュースが流れている。6時台の釧網本線釧路行はキハ54の一両編成。網走を出てすぐ列車がオホーツク沿岸に出ると、羅臼岳の方から朝日が登ってくる。河口は釣り人で大賑わいで、浜にも3メートル間隔で延々と釣竿が刺さっている。朝食にセイコーマートのようかんパンを齧りながら、オホーツク沿岸を東へ進む。このあたり、オホーツク側の海景もいいが、濤沸湖側の枯野っぷりもいい。
斜里を過ぎて釧網線が南へと進路を変えると、東にはうっすらと白い斜里岳が見えてくる。川湯温泉に向かって白樺の林間を進んでいて、『人間の條件』の満州の森を逃げる場面で、槍にしようにも柔らかい白樺しかないという話があったことを思いだす。林間を流れる平たい水の流れが北海道らしい。弟子屈を過ぎて席もかなり埋まってくる。これぐらいの乗車率なら減便の必要は無さそうな気もするのだが、釧網本線では来春に6本減便されることが報じられている。南弟子屈あたりで林間に鶴。9時も過ぎて、標茶からは学生の乗客も増えてくる。茅沼にはタンチョウの姿は見られず。塘路で列車交換のためにしばし停車のため、ホームに出て少し身体を動かす。塘路駅前の原野ぶりはなかなか素晴らしい。
10時過ぎに釧路に到着すると、雨がポツポツと落ちてきた。台風が近づきつつあるということで、明日に向けて徐々に荒れる天気を憂慮し、先に根室を回ることにする。根室行の出発まではまだ小一時間あるので、駅前の市場まで出て腹拵えする。シシャモ定食を頼み、食堂のカウンターにあった釧路新聞を開くと、一面に解禁されたシシャモの初揚げの記事。ということは、これからいただくのは初物ではないというで、いささかガッカリしながらも、本場のシシャモはかなり美味かった。