Friday, October 30, 2015
釧路
根室からの上り列車を駅でのんびり待つことにして、出発時刻より少し早めに駅に戻って見ると、駅はクラブツーリズムのご老人方で酷く混み合っていた。この夏に廃業したばかりのキオスクのシャッターには、釧路出身の作家桜木紫乃原作の映画『起終点駅』のポスターがポツンと貼られている。ツアー客を乗せた満員の列車が根室駅を出発する。何だか変な列車に乗り合わせてしまったなと思っていたら、ツアーの皆様は最東端の駅である隣の東根室駅で降りていった…。夜になって一層列車の鹿笛は鳴りまくり、減速に次ぐ減速。とはいえ、釧路には定時に到着した。
釧路の駅前で宿を取り、荷物を降ろして外に出る。まずは駅の北側に回り、ポツリポツリとスナックの明かりが灯る鉄北センターを徘徊。寂びたスナック街がなかなかのボリュームを誇る素敵な一画である。7時も過ぎたので南口に戻って、夕食に食事処むらかみでホッケ定食。カウンターの中では北林谷栄さん風のお婆さんと渡辺和博風の息子さんが取り仕切り、テレビでは日本シリーズの第一戦。常連らしき釧路のみなさんはスワローズよりだが、力的にソフトバンクの優勝でしょうがないといった大勢だ。勿論、カウンターに置かれたティッシュボックスはファイターズではある。並びの常連さんが頼んでいるクジラの生姜焼きが激しくそそる。主人の話では、よく顔を見せていたクジラ関係の先生か最近来ないし、恐らく釧路にやってきていないのだろうということで、もうこれから調査捕鯨による鯨肉も入ってくるのかわからないとのこと。いい状態で冷凍したものに関してはまだあるのだという。
釧路の夜空はやけに赤い。歓楽街の末広町を少しぶらついて宿に戻り、何となくテレビをつけていると、常呂、網走、佐呂間などに続き、根室や別海にも暴風警報の速報が入る。駅前のバスターミナルの幟は激しくはためいている。