Wednesday, December 16, 2015

リミット

R0001697

三次を出ると、少し小雨まじりになる。芸備線も本格的に閑散区間に入って、車内を見渡してみれば、ほぼ物好きな乗客である。車中読書が西村京太郎というなかなかのベタな客の姿も見える。庄原を過ぎて極端な徐行運転となるが、この辺りの路線も一度路盤が崩れたりすると立ち直れなくなるかもしれないので、慎重な運用もやむを得まい。西城あたりから地元の人らしき撮影隊がドカドカと乗り込んできた。何のイベントか、内から外からカメラが構えられて落ち着かない列車となった。

備後落合から先は極端に本数の少ないエリア。ここから更に新見まで進む芸備線も魅力だが、今回は久しぶりの木次線で山陰に向かう。1本乗り過ごすと恐ろしいことになる備後落合の駅構内には、近隣の中学生が描いた「タイムリミットあとわずか」という素敵なポスターが飾られている。

木次線は何年ぶりだろう。宍道駅まで約3時間。極端に感じるほどの徐行で列車は進む。落合を出たあたりは杉と松ばかりなので山は緑だ。出雲坂根駅のスイッチバックを下りて、あたりの気温は6℃。道中、木次までで出入りがあったのは亀嵩駅のみである。閑散とした区間といっても、もう少しお婆さんの利用ぐらいはあるものだが、全く住民の足という感じはない。木次からようやく息を吹き返した列車は、午後五時半を過ぎて真っ暗な宍道湖に到着した。