Saturday, April 12, 2014

豊後

R0029397

延岡から北へは、ほぼ各駅停車の走っていない区間なので、特急のにちりんで大分へ向かう。次の佐伯までは1時間で、大分までは2時間もかかる。確かに列車は山間の谷川沿いを進み、スピードが出ない。列車交換で停車した駅で、これが10年前なら寝台特急の富士を見送っていたのだろうかと思って調べてみれば、10年どころではなく17年も遡らなければならなかった。当時の時刻表を見てみると、前日の18時に東京を出た寝台列車が佐伯駅を発着するのは13時ちょうどぐらい。特急にちりんの方といえば、定刻通り12時41分に佐伯駅へ停車した。佐伯駅には佐伯出身だという富永一朗の漫画看板があちこちに飾られている。佐伯からは乗車してくる人も多い。駅を出ると一瞬海が見えるが、午後は生憎の曇りであった。

大分駅は改札も自動なら、駅の土産店も洒落ていて、宮崎などより今様である。この辺りなら観光的には温泉に泊まるだろうし、大分市はただ県庁があるだけなのかと思っていたが、この都市っぷりを見ると、大友宗麟はやはり偉大な為政者だったのかもしれないと思ったりする。外は雨ですっかり肌寒いので、アーケード街の中だけをうろつき、雨に濡れる飲み屋街へは出向かわず。黒田官兵衛フェア中の明屋書店では、松本清張の『軍師の境遇』という文庫本を購入。五車堂という味わい深い感じのカレースタンドがあってひかれつつ、些か重そうなので、アーケード街奥地のカフェ開書堂にて小憩した。『軍師の境遇』は微妙であった。

大分駅に戻って、とり天と鶏めしを購い、博多行の特急ソニックに乗込む。雨はますます本格的になり、山間は霧が立ちこめている。小倉でスイッチバックして鹿児島本線へ入ると、ほどなく折尾駅。車内から改築の様子はハッキリとはしないものの、どうも無惨な姿になっているように見える。