5日。昨晩の到着は別府ニュー南映の終映に間に合っていたのだろうか、などと思いながら、朝の別府をぶらぶらする。別府の町はどこまで行っても途切れない広大なスナック街であった。コンビニのエブリワンでパンを買い、バスで別府港へ。豊後水道を渡るために、運送申込書を記入する。二等船室でゴロ寝していると、常連さんの御一行様がやってきて、テレビのスイッチを入れた。細長い佐田岬半島には延々と風力発電の風車が並ぶ。気候も空も甚だしい。二時間半ほど乗船し、正午を過ぎて八幡浜に入港。八幡浜は街からすぐに段々畑がせり上がっている。八幡浜第一防空壕というのが残っているというので見に行ってみると、入り口のクモの巣にナナフシが絡まって干涸びていた。屍骸ながらも天然のナナフシは初めて見たので、心中密かに興奮する。防空壕の隙間を漏れてくる冷気も何とも心地いい。当てにしていたちゃんぽん屋が臨時休業だったので、早めに特急宇和海に乗車し、じゃこ天をかじりながら予讃線を南へ進む。列車から見る『大番』の伊予吉田の入江もまた美しい。宇和海の深くて細いリアス式海岸は、何度地図で見ても見惚れてしまうばかりだ。