Wednesday, July 24, 2013

夕張



帯広から新千歳空港に戻る途中、少し寄り道をして、夕張駅周辺を見て行くことにする。新夕張駅での乗換時間が30分以上もあるので、しばし駅前に出てみると、旧駅名である紅葉山の駅名標などが残されている。夕張支線に入り、南清水沢駅の裏に炭鉱住宅なども見える。清水沢からは沢伝いに進み、終着の夕張駅には4時過ぎに到着した。

新夕張駅や夕張駅ではロッカーなんていうモノの気配は微塵も無く、十勝六花の紙袋をさげたマヌケ姿で、人気の無い街を歩く。映画祭の町でもある夕張には、古い映画の絵看板がポツポツ並んでいるが、絵看板を設置しはじめた当初は、昔ながらの商店街にずらっと看板が並んでいたそうだ。志幌加別川の谷を越ると、夕張本町の商店街に入る。大法寺へ続く急坂に据え置かれた『幸せの黄色いハンカチ』の顔出し看板は、何とも味わい深い風化が進んでいる。古い飲屋跡の残る梅ヶ枝横丁に差し掛かると、熱心に猫の大集会を激写している先客がいたので、遠巻きに盗み見た。軽食&喫茶コンパからは楽しそうな話し声が聞こえてくる。



夕張駅に戻って、駅前の屋台村で名物のカレー蕎麦。シャキっとしたタマネギのカレー蕎麦もまた美味いものである。夕張駅前の屋台村はなかなかの賑わいで続々と人がやってくる。カレー蕎麦ですっかり汗をかいたので、駅舎に併設された喫茶の生メロンクリームソーダで涼をとる。はじめに生メロンソーダを口にした時には思わず唸ったのものの、クリーム分に手を出してから、繊細な生メロン感が飛んでしまった気がするのは些か残念だった。千歳に向かう特急内の電光掲示板に、アシアナの飛行機事故とJR北海道がまた車両火災を起こしたというニュースが流れて、ほんのり嫌な気分になりつつ、オーバーブッキングの便でなんとか無事帰路につくことが出来た。無聊の慰みに『羆嵐』を開いてみると、以前ほど嫌な引っかかりを感じることなく読めそうな気がした。