真夏日の寒露に引続き、本日もまだまだ暑い。天文台からもまだ蝉の声が聞こえてくる。所用を済ませ、電車を有楽町で降りて銀座の方へ歩く。いつもながら銀座は香水の匂いが鮮烈である。昼食には歌舞伎座裏のアメリカンでサンドイッチをいただく。半分をお持ち帰りにしても尚、腹ごしらえにも程があるだろうという恐ろしいボリュームである。そして何しろひじょうに美味い。
付きの運転手を待たせるなんてシーンは、滅多に見ることのない人生であったが、銀座となるとそこらじゅうで見かけることになる。あまりに現実感とかけ離れ過ぎているので、運転手を待たせて店に入っていく様子などを見ると、思い出してしまうのは下山事件というレベルである。
先日、内堀通りで見かけた四ツ谷行きのバスに乗ってみようと思って調べてみると、晴海から勝鬨橋を渡って来るというルートのようなので、築地の方まで少し迎えに行ってみた。銀座でほとんどの人が降り、前の席に移って景色を眺めて進んだ。
バスを終点の四ッ谷で降りて、そのまま外壕を時計回りに辿る。ここらあたりは、中央線から見慣れた壕の区間だが、壕越しに電車が過ぎるのを眺めて歩くのも悪くない。神田川に合流するあたりで壕端は離れることにして、本郷の方へ向う。名曲喫茶麦で一休みしていると、五時を過ぎてちらほらと晩酌が始まり、顔見知りがちょいと挨拶を交わしてしている。フライの揚がる音がなんともいい。素面のこちらはそろそろお暇することにする。