久礼駅には10時半過ぎに到着。台風一過の虫干しにはためく漁師町を歩く。まず浜に出て階段に腰をおろすと、めざとくカモを見つけた白灰のネコが擦り寄ってくる。甚だホカホカしていて気持ちいいので、グリグリザクザクと少しだけご奉仕させていただく。大正町の市場を歩き、鰹のたたきとくじら皮の煮付けを見繕って定食。たたきもいいが、煮付けがなんとも堪らない味わいだ。マーケットの外の菓子店では、端正なかつお最中といかにも手作りのあんドーナツを購う。注文してから、その場で砂糖をまぶしてくれる段取りには、どうにも魅了されざるをえない。
丘よりの商店街を歩いていると、正午のサイレンとチャイムが同時にけたたましく鳴り響くので、そろそろ駅の方へ戻ることにした。駅前通りの葬儀屋前に出ている屋台の玉子焼も、子供たちが出来上がるのを待ち構えているのを見ると、きっと侮れないものなのだろう。そうはまた来ることが出来ないだろうと思っていた久礼の町だが、通る機会があれば、是非とも立ち寄っていきたい町となった。そういえば、久礼にはまだ他にも名物のイチゴがあるのだ。
土讃線の次は南風の3号。予土線へ乗継ぐ窪川までは15分ほどである。窪川での乗継ぎも少し時間があるので、こちらの駅の回りも歩いてみる。小半時ばかりの時間であったが、窪川の街並もなかなか素敵で、異色茶房淳とコーヒーショップ田園が向かいあって覇を競い、脇をタナベベーカリーと若者のカスバYOUNGで固めた一角は相当のものであった。次来るときは淳と田園をハシゴする時間を確保して来ようと思う。