10月25日。夜のうちにスピードを上げた台風が四国を過ぎ去って土讃線が甦る…、という奇蹟に備えて早起きしてみるものの、それどころかますます足取りを重くした台風は、予讃線まで止めてしまった。こうなってみると全く甘い見当であったが、瀬戸内側の鉄道が止まることは想定しておらず、しょうがないので高速バスで行こうと思いきや、道路までも通行止めという状況である。丸亀から少しでも松山方面に進むべきか悩んだが、進退窮まった時のことを考え、まだ予讃線が生きている反対方向の高松へ向うことにする。
高松駅2階のUCCで、一人モーニングにありつきながら、階下のコンコースを眺めていると、ダイヤが乱れて困惑する乗客を、テレビのカメラが追いかけている。高速バスの方はといえば、運休の判断を先延ばしにして様子を伺っているので、なかなかターミナルを離れるに忍びない。それでも、やはりすぐには復旧しないと思われるので、一縷の望みを託して夕方の便を予約し、しばし高松市内をぶらつくことにした。
早速、高松市美術館まで出向いてみると、この日は明日からの展示替えに備えて、付属の図書室があいてるだけの開店休業状態。来るコンテンポラリーアート・アニュアル展はなかなか面白そうな展覧会ではあるのだが、自分には縁が無かったのだろう。ただ、美術館通りに、以前から気になっていた喫茶店の「城の眼」が目に入ったので、こちらだけでもと寄って行くことにする。ガランとした正午前の喫茶店に入店し、無難にランチセットのカレーを注文する。すぐに正午を過ぎて入ってくる常連さんは、「焼き…そば」とか「焼き…メシ」みたいな感じで注文しているので、とりあえず「焼き…」が基本であったようだ。確かになんとも美味そうに鉄板がジュージューいっている。